生命保険の必要保障額の考え方と計算方法【ライフステージごと】

生命保険への加入を検討しているのですが、保険金額はいくらに設定すればいいのでしょうか?

保険金額=必要保障額は、「なんとなく」で決めるべきではありませんよね。

「◯歳の人は◯◯万円」といった情報もあくまで平均的な統計に過ぎないので、一人ひとりに合った適切な保障額を計算するのがベストです。

そこで、必要保障額の計算方法について分かりやすく解説していきます。

この記事の要点

1:生命保険の必要保障額は、遺族の支出ー遺族の収入

2:遺族の支出には生活費や教育費、葬儀関連費用など挙げられ、遺族の収入は配偶者の収入や遺族年金、勤務先の福利厚生、相続財産などがあげられます。

3:必要保障額を正確に把握するのは難しい面がある為、自分で計算するのが大変だという人は専門家に相談することをおすすめします。

生命保険の必要保障額とは

生命保険(死亡保険)に加入する時には、保障額(保険金額)を決める必要があります。

つまりは、加入後に保険の対象になっている人(被保険者)が亡くなったら、いくらの保険金が市はられるのかという、金額です。

商品ごとに決められている範囲内であれば、保険金額をいくらに設定するのも自由です。

保険金額は多く設定するほど、保険料も高くなっていきますから、後々、無理なく支払いを続けるためには、保険金額を抑えた方がいいでしょう。

とはいえ、高い保険料を支払いたくないからといって、保険料を抑えすぎると保障内容が薄くなってしまい、本末転倒になりかねません。

それを決めるには「必要保障額」を考える必要があります。

ポイント

・保険は、万一のことがあった時に残された家族が困らないように準備しておくもの。

・しかし、家族の状況は、一つ一つ違っているので、正解も家族によって異なる。

では必要保障額はどのように考えれば良いのでしょうか?

必要保障額の基本的な考え方

必要保障額は、次のように考えます。

必要保障額の考え方

遺族の支出ー遺族の収入=必要保障額

つまりは、

万一の時に必要な額ー万一の時に準備できる額=万一の時に不足する額

◯注意点

・一家の主な収入源になっていた人が亡くなった場合、その人の収入で生活していた家族の生活費が以後は無くなってしまいます。

・つまり、この」場合、遺族の生活費に相当する金額は、「万一の時に必要な額」です。

・他にも、教育資金やローンの返済といったお金が必要かもしれません。

それら全てをひっくるめて、「万一の時に必要な額」を見積もっていきます。

◯ポイント

・一方、「万一の時に準備できる額」を考えます。

・遺族年金などの公的保障が代表的なものですが、すでにある貯蓄も考えに入れることができます。

・そして、「万一の時に必要な額」から「万一の時に準備できる額」を差し引いて残った額が「万一の時に不足する額」と考えることができます。

この額が、生命保険によって準備すべき金額であり、保険の「必要保障額」だというわけですね。

遺族の支出を計算しよう

一家の主な収入源となっていた人が亡くなった場合、残された家族がその後生活していくにはどのような支出があるのでしょうか。

主に以下の費用を順に追ってみていきましょう。

遺族の支出

・生活費
・教育費
・葬儀費用関連
・その他の費用

生活費

まずは、遺族の生活費を考えます。

食費や光熱費といった普段の暮らしに必要なお金です。

ポイント

・生活費は、基本的には暮らし方がそれまでと大きく変わらない前提で考えますが、家族の人数が一人減ったわけですから、全く同じではありません。

・夫婦と子どもという家族構成だった場合、夫婦のどちらかが亡くなった後は、それ以前の7割程度と見込むのが一般的です。

・子どもがいない家庭や、子どもが独立した後は、以前の5割程度と考えます。

例で考えてみましょう。

総務省の統計(令和2年「家計調査」)によると、2人以上の世帯の消費支出の平均は月あたり27万8,718円でした。

そこで、毎月28万円(年間336万円)の生活費を支出している家族のケースです。

夫が亡くなった場合(家族構成:夫35歳、妻30歳、子ども1歳と仮定)

以後の生活費は、

子どもが独立するまで:336万円×0.7=年間235.2万円
子どもが独立した後 :336万円×0.5=年間168万円

です。

子どもの独立は大学を卒業した時(今回のケースでは21年後)と考える場合が多いでしょう。

その後は、配偶者の余命分を見積もります。

厚生労働省が発表した「平成22年簡易生命表」では、30歳の女性の平均余命は56.92年です。57年間のうち、子どもが独立するまでの21年間を差し引いた36年間と考えます。すると、

子どもが独立するまで:年間235.2万円×21年間=4939.2万円
子どもが独立した後 :年間168万円×6年間=6,048万円

上記の合計=1億987.2万円

が遺族の生活費と考えられます。

教育費

「今後必要になる大きなお金」として、まず思いつくのが「子どもの教育費」ではないでしょうか。

子どものいる家庭では、大きな支出として教育費を見込んでおかなくてはなりませんね。

教育費は、子どもの進路によって大きな幅があり、正確な予測は難しいですが、平均的な額で考えてみましょう。

学校の種類年間の費用費用の総額
公立小学校32万1,281円192万7,686円
私立小学校159万8,691円959万2,146円
公立中学校48万8,397円146万5,191円
私立中学校140万6,433円421万9,299円
公立高校45万7,380円137万2,140円
私立高校96万9,911円290万9,733円

※費用には給食費や学校外活動費を含む
※総額は年額を6倍(小学校)または3倍(中学・高校)したもの

大学については、生命保険文化センターが紹介している数値※4を紹介します。

大学は自宅生下宿生とで費用に違いが出てきます。

大学の種類自宅生下宿生
国立527.9万円825.9万円
私立(文系)688.3万円977.9万円
私立(理系)824.3万円1,113.9万円

※4年間の在学費用に入学金や受験費用などを含んだ額

※3 平成30年度「子供の学習費調査」(文部科学省) 
※4 「大学生にかかる教育費はどれくらい?」(生命保険文化センター)

葬儀費用関連

人が亡くなった場合、葬儀などの費用が生じます。

ポイント

・葬儀そのものに加え、関連する飲食代や香典返礼費用、戒名や法要、納骨などの費用もかかるでしょう。

・墓地・墓石が用意できていなければ、それらの費用も必要かもしれません。

・また、関連して遺品整理や、相続などの手続きに費用がかかることもあります。こうしたものをまとめて「死亡整理金」などと呼びます。

死亡整理金がいくら必要かは人によって幅があり、一概には言えません。

葬式費用などは地域の相場のようなものもありますし。亡くなった人の社会的地位なども関係します。

一般的には200万円程度あればいいと言われていますが、家庭ごとにどれくらいが妥当かは考えてみましょう。

その他の費用

ほかに、今後、必要になりそうな大きなお金があれば見積もっておきます。

特に注意したいのは「住まいのお金」です。

ポイント
  • 賃貸住まいであれば生活費に含めて考えていると思いますが、家族が亡くなったことを機に暮らし方を変える(実家に帰るなど)のであれば、考えに入れておきましょう。
  • 住宅ローンを返済中であった場合、亡くなった人がローンの借入名義人であったなら、通常は、団体信用生命保険により、残債が精算されます。

つまり、住宅ローンを返済中の場合は、住まいの費用は考えなくて良いということですね。

亡くなった人が名義人でないのなら、住宅ローンは残りますので、残高を支出に含めておかなくてはなりません。

遺族の収入を計算しよう

支出を見た後は、収入について考えていきましょう。

配偶者の収入

亡くなった人の配偶者が専業主婦(主夫)として扶養される立場であったとしても、これからは自身も働いて収入を得ることが可能です。

先ほど遺族の生活費の項目で出した家族のケースで考えてみます。

夫が亡くなった後、30歳の妻が働くというケースパートで月10万円程度の収入(手取り)があると仮定し、その仕事を自身が60歳になるまでの30年間続けるとします。

年間収入120万円×30年間=3,600万円

上記が今後見込める収入です。

もちろん、正規の仕事を目指せる、資格やスキルがあるのでより高い収入が見込めるということであれば、考えに含めて見積もりましょう。

遺族年金

亡くなった人に生計を維持されていた配偶者がいた場合、その配偶者は公的年金制度より遺族年金を受給できる可能性があります。

どのような年金をいくら受け取れるかは、以下の項目によって異なります。

ポイント

・亡くなった人が加入していた年金制度

・残された配偶者の状況

亡くなった人が会社員・公務員であれば原則として厚生年金に、自営業やフリーランスであったら国民年金に加入しています。

それによって次のような遺族年金を受け取れる可能性があります。

亡くなった人の立場加入していた年金制度受け取れる遺族年金
会社員・公務員厚生年金遺族基礎年金と遺族厚生年金
自営業・フリーランスなど国民年金遺族基礎年金のみ

※亡くなった時点で自営業の人も、過去に会社員だったことがあれば、遺族厚生年金を受け取れる場合があります

注意点
  • ただし、遺族年金は必ず受け取れるわけではなく、年金保険料の納付期間が一定以上あるなどの条件があります。
  • そのうえで、遺族基礎年金については、18歳未満の子どもがいる場合のみ受給することができます。

子どもがいないか、子どもが全員18歳以上になっていれば、遺族基礎年金は受け取れませんが、遺族厚生年金の受給資格があれば、遺族厚生年金は受給できます。

受給できる金額は次のとおりです。

遺族年金の種類受給できる金額
遺族基礎年金“78万1,700円+子の加算額※子の加算額
第1子・第2子については1人あたり22万4,900円
第3子以降は1人あたり7万5,000円”
遺族厚生年金亡くなった人が将来受け取るはずだった老齢厚生年金の3/4相当額

遺族基礎年金の額は令和2年4月からの額 (日本年金機構)

ポイント
  • 遺族基礎年金の額…定額
  • 遺族厚生年金の額…亡くなった人の生前の給与額などによって異なります

金の仕組みは複雑ですので、正確に知りたいときは年金事務所に問い合わせるか、社会保険労務士やファイナンシャルプランナー、保険相談窓口のコンサルタントなどの専門家にアドバイスを受けることをおすすめします。

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